院長コラム

新型コロナウイルス感染症の小児重症例について

 新型コロナウイルス感染症の日本での患者発生が確認されてからほぼ1年が経過しました。欧米では流行の初期から、新型コロナウイルス感染により小児に川崎病類似の病状を呈する重症例の存在が報告されていました。日本では当初、同様の病状を呈する症例は見られず小児は重症化しない、と考えられていましたが、その後の日本川崎病学会の調査により、日本でも川崎病類似の症状を伴い心筋収縮能の低下をきたす重症例が数例存在することがわかりました。いずれの症例も、強心薬、免疫グロブリン大量静注療法等の治療で回復し、死亡例はありません。新型コロナウイルス感染症の小児重症例についての、日本小児科学会と日本川崎病学会からの提言が発表されましたので、記載しました。ご一読ください。今後の症例調査の継続と詳細な検討が必要と考えられます。

新型コロナウイルス感染症の小児重症例について

日本小児科学会

日本川崎病学会

 小児における新型コロナウイルス感染症は比較的軽症で、多くの場合は治療を必要としないものです。2021年2月23日時点で、国内において10歳未満の小児は約1万人、10歳代の小児は約2万人が新型コロナウイルス感染症にかかっていますが、亡くなられた方の報告はありません。その一方で、欧米を中心とした諸外国では、一定の割合で重症化する小児の患者が報告されています。成人で肺炎が悪化し重症化する事が多いのとは異なり、「小児多系統炎症性症候群」と言われ下痢、発熱、発疹などがみられ、心臓の動きが悪くなることがあるのが特徴です。新型コロナウイルスに感染した回復期(2-6週後)に学童期以降の小児にこのような症状が認められる傾向があります。国内でも感染者が増えた場合は、同様の例が発生することが危惧されていました。

 今回、国内において少数ながら重症化した小児がいることが明らかになりました。海外と同様に小児多系統炎症性症候群と考えられる患者さんも認められています。しかし、患者数は少なくいずれも治療によって回復しています。なかには、川崎病に似た症状を示す方や、川崎病の診断項目を満たす方がありますが、川崎病とは異なる疾患と考えられています。川崎病と診断された患者さんを特別に隔離したり、以前に川崎病になった方が新型コロナウイルスに感染しやすいとか、小児多系統炎症性症候群を発症することを心配したりする必要はありません。

 過度な心配は不要ですが、子どもへの感染を防ぐためには、これまで通り日常生活において周囲の大人が罹らないように、こまめに手洗いを行い、マスクを着用し、感染するリスクの高い状況を避ける事が重要です。衛生行動がとれる小児の場合は、同じようにご指導ください。

 お子さんが新型コロナウイルスに感染した場合、あるいは家庭内等に新型コロナウイルスの感染者がいる場合は、数週間はお子さんの下痢や発熱、発疹、ぐったりするなどの症状に注意をしてください。そのような症状がある場合は、診断をうけた医療機関にご相談ください。また、普段と異なり調子が悪い時は、新型コロナウイルス感染症に限らず、様々な病気が考えられますので、かかりつけ医にご相談ください。

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