院長コラム
新型コロナウイルスと川崎病
新型コロナウイルスと川崎病
最近、新型コロナウイルスに感染した小児で川崎病に類似した症状をきたす症例が欧米から相次いで報告され、
日本のメディアでも話題になっています。
私は勤務医時代に、軽症から最重症例まで500例を超える川崎病急性期の患者さんを診て治療してきました。
瀬田三愛小児科に移ってからも毎年3~4例の川崎病患者さんを診断しています。
先日Web会議中継で、新型コロナウイルス感染小児に川崎病様症状を合併した、
という欧米からの十数例の症例報告を見ましたが、いずれの症例も通常の川崎病とはかなり病状が異なっていました。
また、私が運営委員を務めている日本川崎病学会 http://www.jskd.jpで日本国内での簡易調査が行われましたが、
直近3か月間の川崎病罹患件数、重症例の割合ともに例年とほぼ同様であり、
新型コロナウイルス感染小児で川崎病様症状をきたした症例は1例も報告されませんでした。
新型コロナウイルス感染に伴う川崎病様疾患は、川崎病とは別のものと考えるのが妥当ですが、
サイトカインストームの関与、冠動脈瘤をきたす症例の存在など、川崎病との共通点も認められており、
川崎病の病因解明をも含めて、今後の研究・検討が必要と考えられます。